オホーツク文化の金属製品
オホーツク文化は、日本列島の中で、最も遅い時期まで石器が使われた文化の1つです。黒曜石製の石鏃など、石器が多数使われていました。
一方で、鉄や青銅など、金属の道具も合わせて使われていました。当時の北海道には、金属を生成する技術が存在しなかったので、金属製品は全て、北海道外から交易で持ち込まれたものです。特に、オホーツク文化で注目されるのは、大陸で作られたと考えられる製品の存在です。金属製品には、靺鞨(まっかつ)と呼ばれる人々の道具と共通するものが見つかっています。靺鞨とは、5~9世紀ころ、中国東北部やロシア・沿海州にいた人々で、9世紀以降は女真(じょしん)と呼ばれるようになります。こうした大陸と関連のある製品の存在は、オホーツク文化の人々が、広域にわたる交易を行っていたことを示すものです。
青銅製 鐸(たく)
鐸(たく)とはベルのことです。この鐸は破損品で、もとは高さが倍以上あったと考えられます。本来は、内部に音を出すための、「舌(ぜつ)」と呼ばれる部品が下げてあり、ゆらすと音が出る仕組みでした。靺鞨の文化との関連が考えられる遺物です。
銀製耳飾り
オホーツク文化のお墓から見つかった、耳飾りの輪です。細い銀の棒を曲げて作られており、両端にとじ合わせるための小さな穴があります。こちらも、大陸の靺鞨の文化に同様のものが存在します。
鉄製短刀・鉄斧とオホーツク土器
オホーツク文化のお墓から見つかった土器と鉄製の短刀・斧のセットです。(※土器は「ところ埋蔵文化財センター」で展示中。)
短刀は、わざと曲げられていました。お墓に入れる武器をU字形に曲げるのは、靺鞨文化によく見られる風習です。ばち形をした鉄斧は、オホーツク文化で多く見られるものであり、こちらも大陸の製品と考えられています。