動物をデザインした遺物
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動物をデザインした遺物が多いことは、オホーツク文化の特徴の1つです。オホーツク文化では、クマの頭骨など動物の骨を集めてまつった「骨塚」を竪穴住居内にもうける風習がありました。動物のデザインも、こうした動物をまつる風習と関連したものと考えられます。
デザインとして特に多く見られるのはクマです。クマは、アイヌ文化では山の神としてあがめられた動物です。オホーツク文化でも、特にクマの頭骨を大切に集めていた事例が多くありますので、クマは神聖視されていたようです。またクマ以外では、海や水辺の動物のデザインが多く見られます。ラッコやアザラシ、水鳥などです。オホーツク文化の人々は、海での狩猟を盛んに行っていましたので、彼らにとって身近な動物をデザインに採用したようです。
動物をデザインしたものには全身や頭部を表現した彫刻など、写実的で分かりやすいものも多くあります。その一方で、体の一部だけだったり、小さかったりと、一見しただけでは分かりにくいかたちで隠れているものもあります。下にいくつか紹介していますので、探してみてください。
骨製匙
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把手の部分に目と口が表現されています。
骨製装飾品
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こちらは正確な用途がはっきり分かっていないものですが、アクセサリーの一種ではないかとされています。上端部が、指が4本ある足形に彫刻されており、おそらくクマの足を表現したものと考えられます。
フクロウの装飾付き棒状木製品
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焼けて炭になってしまっていますが、フクロウ形の彫刻のある木製品です。フクロウの部分は長さ1.4cm程度ですが、拡大してみるとかなり細かい彫刻があります。頭部に羽角(うかく:耳のように見える出っ張り)があるため、シマフクロウかミミズクの仲間を表現したものと判断できます。