1.はじめに
「ところ遺跡の館」にご来館いただき、まことにありがとうございます。
この展示ガイドでは、館内の展示をご覧いただく上でポイントになるところを順番にご紹介しています。展示コーナーによっては、注目の展示物をいくつかピックアップして、解説ページをもうけていますので、どうぞご参照ください。
展示をご覧いただくにあたり、最初に、時代区分についてご説明しておく必要があります。
日本列島の北端に位置する北海道ではかつて、本州以南とは異なる独自の文化が栄えていました。特に縄文時代以降は、時代・文化の区分も北海道独自のものが用いられています。
中でもオホーツク海沿岸では南の本州と、北のサハリン・千島列島との双方から影響を受けた独特の文化が形成されました。縄文時代の後、稲作の文化が広まらなかった北海道では、狩猟・採集の文化が継続したことから、「続縄文時代(ぞくじょうもんじだい)」と呼ばれる時代区分が用いられています。7世紀頃には、本州からの影響を受けて、土器や竪穴住居の造りなどが変化した「擦文文化(さつもんぶんか)」が成立し、「擦文時代」と呼ばれる時代を迎えます。また、北海道のオホーツク海沿岸では、5~12世紀にかけて、サハリン方面から移住してきた人々も活動していました。この異民族の人々の文化は「オホーツク文化」と呼ばれています。
日本列島の本州以南で用いられている一般的な時代区分と対比すると、北海道の時代区分は次の図のようになっています。当館の展示をご覧いただく際には、この時代区分を把握しておくと分かりやすくなります。
【図 時代区分】
常呂地域には旧石器時代からアイヌ文化期に至るまで、各時代の遺跡が連綿と残されており、数々の出土品から北海道オホーツク地域の歴史の流れをたどることができます。時代が重なる擦文文化とオホーツク文化の両方の遺跡が残されており、2つの異なる文化の関係を知る上でも重要な資料が得られています。