9.オホーツク文化
オホーツク文化は5~12世紀頃のオホーツク海沿岸で栄えた文化です。時期が重なる続縄文・擦文時代の北海道に元々いた人々とは異なる、外来の異民族によって残されました。海での狩りや漁を中心に生活した人々で、遺跡も海岸部に残されています。
この文化は最初、宗谷海峡周辺に出現し、6~7世紀頃に道東部にも渡ってきました。8~9世紀にはサハリンから北海道、千島列島まで範囲を広げます。
【図 オホーツク文化の遺跡分布圏の変化】
オホーツク文化では土器のデザインや住居の造り等に独自の特徴が見られます。特に、住居内に熊の頭骨を集めて祀るなど、熊を崇拝する風習をもっており、後のアイヌ文化にも影響を与えたと考えられています。
道東部では10~11世紀頃、オホーツク文化が擦文文化と接触・融合し、トビニタイ文化に変化しました。これは擦文・オホーツクの中間的な特徴をもつ文化であり、オホーツク文化の人々の一部が元々北海道にいた擦文文化の人々に混じって暮らしていたことを示すものと考えられています。